SDSはSafety Data Sheetの略語で、安全データシートのことです。SDSは、製品名や製品中含有成分の情報、化学物質の危険性・有害性に関する情報、安全上の予防措置、緊急時対応などの情報を記載した資料のことで、化学物質を他の事業者に譲渡・提供するときに、その化学物質の危険性・有害性等の性質や取扱い上の注意事項等の情報を相手方に提供するための文書です。
用語集
労働安全衛生分野、GHS、リスクアセスメント等における技術的な用語の説明は以下のサイトを参考にすることができます。
職場の化学物質管理において用いられる用語の意味を労働安全衛生の観点での使われ方で説明しています。
用語は、順次追加していきます。
あ行
か行
化学物質管理者は、事業者が事業場の規模にかかわらず、リスクアセスメント対象物を製造、取り扱い又は譲渡提供する事業場ごとに選任しなければならず、その職務として当該事業場におけるリスクアセスメント対象物の管理に係る技術的事項を管理させなければならないと規定されています。(労働安全衛生規則第12条の5参照)
従来、化学物質管理者は労働安全衛生法第57条の3第1項に規定されるリスクアセスメントを行うに当たって適用される「化学物質等による危険性又は有害性等の調査等に関する指針」(平成27年危険性又は有害性等の調査等に関する指針公示第3号)の中に定義されていました。
今回の自律的な管理の実行を目的とした省令改正により、この「化学物質管理者」が事業場の化学物質管理の技術的事項の管理を行うよう位置づけられました。
化学物質管理者は「化学物質の管理に係る業務を適切に実施できる能力を有する者」とされ、ラベルやSDSの確認と化学物質に係るリスクアセスメントの実施の管理、リスクアセスメント結果に基づくばく露防止措置の選択・実施の管理、自律的な管理に係る各種記録の作成・保存、労働者への周知・教育等を担います。これらの様々な職務を関係者や専門家と協力して進めることが期待されます。
作業環境測定結果から当該作業場所の作業環境管理の良否を判断する際の管理区分を決定するための指標として定められたものです。
作業環境評価基準(昭和63年、労働省告示第79号)別表
労働現場で労働者がばく露されても、空気中濃度がこの数値以下であれば、ほとんどすべての労働者に健康上の悪影響がみられないと判断される濃度のことです。
がん原性がある物として厚生労働大臣が定めるもののことをがん原性物質といい(労働安全衛生規則第577条の2参照)、具体的には厚生労働省告示第371号(令和4年12月26日付)及び関係通達(労働安全衛生規則第 577 条の2第3項の規定に基づきがん原性がある物として厚生労働大臣が定めるものの適用について)に定められています。
物質のリストは「労働安全衛生規則第577条の2の規定に基づき作業記録等の30年間保存の対象となる化学物質の一覧」として厚生労働省より公表されています。
さ行
危険物の取り扱い作業、高温または低温の場所での作業、重量物の取り扱い作業、労働者の作業行動に由来して労働災害につながる作業などに対して、労働者の危険又は健康障害を防止するための措置を講じることが義務付けられています(労働安全衛生法第4章(第20条~第36条))。
労働者の危険又は健康障害を防止するために事業者がとるべき措置が義務付けられていることを措置義務があるといいます。
事業者は、事業を行う者で、労働者を使用するものをいうことが労働安全衛生法第2条の3において規定されています。
労働安全衛生法において、一つの事業場であるか否かは主に場所的観念によって決定すべきであり、同一の場所にあるものは原則として一つの事業場とし、場所的に分散しているものは原則として別個の事業場とされています。
一方、同一の場所にあっても、著しく労働の態様を異にする部門がある場合には、その部門を主たる部門と切り離して別個の事業場としてとらえることにより労働安全衛生法がより適切に運用できる場合には、その部門は別個の事業場としてとらえることとしており、工場内の診療所、自動車販売会社に附属する自動車整備工場、学校に附置された給食場等はこれに該当することとされています。
なお、例外的に、場所的に分散していても規模が著しく小さく、組織的な関連や事務能力等を勘案して一つの事業場という程度の独立性が無いものは、直近上位の機構と一括して一つの事業場として取り扱うものとされています。
(昭和47年9月18日発基第91号通達の第2の3参照)
事業者による職場の化学物質の「自律的な管理」においては、基本的な枠組み(危険性・有害性に関する情報伝達、ばく露濃度等の管理基準等)と達成すべき指標を国が示し、事業者はその情報に基づいて具体的な管理手法(リスクアセスメントやその結果に基づいてばく露防止のために講ずべき措置)を自ら選択して実行することとされています。従来、事業者は法令で指定された物質に対して規定された具体的な措置義務に対応してきましたが、今後は物質が使用される場面に応じて柔軟かつ適切な対策を講じることとなります。
な行
「リスクアセスメント対象物のうち、一定程度のばく露に抑えることにより、労働者に健康障害を生ずるおそれがない物として厚生労働大臣が定めるものを製造し、又は取り扱う業務(主として一般消費者の生活の用に供される製品に係るものを除く。)を行う屋内作業場においては、当該業務に従事する労働者がこれらの物にばく露される程度を、厚生労働大臣が定める濃度の基準以下としなければならない」(労働安全衛生規則第577条の2第2項)との規定があり、この濃度の基準を「濃度基準値」といいます。
濃度基準値の適用に関する考え方等は厚生労働省より資料が公表されています。
ら行
化学物質の危険性・有害性や取扱い上の注意事項に関する情報等が示された物またはそれらの情報を示す行為のことです。
リスクアセスメントは、リスクアセスメント対象物の危険性・有害性を特定し、その特定された危険性・有害性に基づくリスクを見積もることに加え、リスクの見積もり結果に基づいてリスク低減措置(リスクを減らす対策)の内容を検討する一連の流れと定義されています。つまり、リスクアセスメント対象物はリスクアセスメントの実施が義務付けられています(労働安全衛生法第57条の3参照)。法で規定された危険性又は有害性等の調査がリスクアセスメントのことです。
一方、労働安全衛生関係法令に規定される最低基準としての危害防止基準を遵守するだけでなく、事業者が自主的に個々の事業場の建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等による、又は作業行動その他業務に起因する危険性又は有害性等の調査(リスクアセスメント)を実施し、その結果に基づいて労働者の危険又は健康障害を防止するため必要な措置を講ずることが規定されています。つまり、リスクアセスメント対象物以外についても、危険性・有害性を特定し、その特定された危険性・有害性に基づくリスクを見積もることに加え、リスクの見積もり結果に基づいてリスク低減措置(リスクを減らす対策)の内容を検討する、つまりリスクアセスメントの実施は事業者の努力義務となっています
(労働安全衛生法第28条の2参照)。
リスクアセスメント対象物は、法第57条の3第1項の危険性又は有害性等の調査(主として一般消費者の生活の用に供される製品に係るものを除く)をしなければならない令第18条各号に掲げる物(表示対象物質)及び法第57条の2第1項に規定する通知対象物(通知対象物質)と定義されています(労働安全衛生規則第12条の5参照)。
なお、表示対象物質を裾切り値以上含む混合物、又は通知対象物質を裾切り値以上含む混合物のいずれかに該当するものも、リスクアセスメント実施義務の対象です。
リスクアセスメント対象物には該当しないものの、職場で使用され、GHS分類の結果として健康有害性又は物理化学的危険性において危険有害性区分が付与される全ての物質はリスクアセスメント実施の努力義務の対象です。
(参考:リスクアセスメント)
労働者は、職業の種類を問わず、事業に使用される者で、賃金を支払われる者をいうことが労働安全衛生法第2条の2において規定されています。(労働基準法第9条の定義に同じ。)