- STEP 4
- その他の5つのポイント
4-2.ラベル表示、SDS交付
労働安全衛生法において、事業者は、当該製品の危険性・有害性に関する情報を特定し(GHS分類を実施し)、危険性・有害性を示す製品の危険性・有害性や取り扱い上の注意事項についてラベル表示やSDS交付によって情報伝達を行うことが求められています。事業者に選任された化学物質管理者はラベル表示及びSDS の内容の適切性の確認等を行うことでこれらの作業を管理します。
これらの対応が義務となっている表示対象物(ラベル表示義務対象物質)と通知対象物(SDS交付義務対象物質)のリストについてはSTEP1-3をご覧ください。
また、STEP4-1に示したとおり事業者は、労働者がラベル表示に記載されている各項目の意味、特に危険有害性情報を正しく理解するように教育する必要があります。
実施すべき事項
化学物質を取り扱う人にラベル表示やSDSによって直接的にその危険性・有害性を知らせることで災害防止対策をとることが重要で、ラベル表示は直接的に労働者等にわかりやすく危険性・有害性を伝えるために、またSDSは事業者間でのさらに詳しい情報伝達のための手段と位置付けられています。
ラベル表示
労働安全衛生法及び労働安全衛生規則で定められているラベル表示に記載すべき項目は厳密にはGHSに規定されたラベル表示の項目とは異なりますが、GHSに基づいたラベル表示を行うことで、法及び安衛則で定められているラベル表示に記載すべき項目は満足するとされています。下記にGHSに基づいたラベル表示の一例を示します。
- 1製品の名称
- 2注意喚起語
- 3シンボル、絵表示
- 4危険有害性情報
- 5注意書き
- 6供給者
- 7補足情報
SDSの作成・提供
労働安全衛生法及び労働安全衛生規則で定められているSDSに記載すべき項目は厳密にはGHSに従ったSDSとは異なりますが、GHSに基づいた(実際にはGHSに準拠した日本産業規格JIS Z 7253)SDSを作成することで、法及び安衛則で定められているSDSに記載すべき項目は満足するとされています。下記にJIS Z 7253:2019に基づいたSDSに記載される項目を示します。
化学品及び会社情報 | 物理的及び化学的性質 |
危険有害性の要約 | 安定性及び反応性 |
組成及び成分情報 | 有害性情報 |
応急措置 | 環境影響情報 |
火災時の措置 | 廃棄上の注意 |
漏出時の措置 | 輸送上の注意 |
取扱い及び保管上の注意 | 適用法令 |
ばく露防止及び保護措置 | その他の情報 |
ラベル表示およびSDS等に関連する適用事項
今回の自律的な化学物質管理の実施においてラベル表示およびSDS等に関連する対応の変更点は次のとおりです。
SDS等の「人体に及ぼす作用」の定期確認と更新
SDSの通知事項である「人体に及ぼす作用」を、定期的に確認し、変更があるときは更新しなければなりません。更新した場合は、SDS通知先に、変更内容の通知が必要です。
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※1:現在SDS交付が努力義務となっている安衛則第24条の15の特定危険有害化学物質等も、同様の更新と通知が努力義務となります。
5年以内ごとに1回、記載内容の変更の要否を確認
変更があるときは、確認後1年以内に更新
変更をしたときは、SDS通知先に対し、変更内容を通知
SDS等による通知事項の追加と含有量表示の適正化
SDSの通知事項に「(譲渡提供時に)想定される用途及び当該用途における使用上の注意」が追加されます。
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※ :譲渡提供を受けた相手方は、想定される用途以外の用途で使用する場合には、使用上の注意に関する情報がないことを踏まえ、当該物の有害性等をより慎重に検討した上でリスクアセスメントを実施し、その結果に基づく措置を講ずる必要があります。
SDSの通知事項である、成分の含有量の記載について、原則として重量パーセントの通知※1が必要ですが、製品の特性上、含有量に幅があるものは、濃度範囲の表記も可能です。また、重量パーセントへの換算方法を明記していれば重量パーセントによる表記を行ったものとみなされます。
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※1:重量パーセントの通知は、十パーセント未満の端数を切り捨てた数値と当該端数を切り上げた数値との範囲をもって行うことができるとされています。
化学物質を事業場内で別容器等で保管する際の措置の強化
安衛法第57条で譲渡・提供時のラベル表示が義務付けられている化学物質(ラベル表示対象物)について、譲渡・提供時以外も、以下の場合はラベル表示・文書の交付その他の方法で、内容物の名称やその危険性・有害性に関する情報を伝達しなければなりません。
- ラベル表示対象物を、他の容器に移し替えて保管する場合
- 自ら製造したラベル表示対象物を、容器に入れて保管する場合等
SDS等による通知方法の柔軟化
SDS情報の通知手段は、譲渡提供をする相手方がその通知を容易に確認できる方法であれば、事前に相手方の承諾を得なくても、ホームページアドレスの伝達によって閲覧を求める方法等を採用できることになりました。
- 文書の交付
- 相手方が承諾した方法(磁気ディスクの交付、FAX送信など)
事前に相手方の承諾を得ずに、以下の方法で通知が可能
- 文書の交付、磁気ディスク・光ディスクその他の記録媒体の交付
- FAX送信、電子メール送信
- 通知事項が記載されたホームページのアドレス、二次元コード等を伝達し、閲覧を求める
次に、がん原性物質への対応ついて確認しましょう!4-3. がん原性物質への対応へ
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STEP1
取り扱い化学物質を把握しましょう-
1-1.こんな製品や化学物質を使ってませんか?
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1-2.取扱い物質をリストアップ
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1-3.リスクアセスメント対象物に該当するか確認
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1-4.その他の確認すべきこと
STEP2
体制の整備-
2-1.化学物質管理者の選任
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2-2.保護具着用管理責任者の選任
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2-3.社内の周知・啓発
STEP3
リスクアセスメントの実施-
3-1.リスクアセスメントとは?
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3-2.いつ、どの物質について何を行う?
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3-3.リスクアセスメントしたらどうする?
STEP4
その他の5つのポイントを確認-
4-1.労働者への教育
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4-2.ラベル表示、SDS交付
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4-3.がん原性物質への対応
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4-4.有害性等の掲示
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4-5.労働災害時の対応
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- 独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所
- 職場のあんぜんサイト
- 労働者健康安全機構
- JNIOSH Channel