第1章 職場の自律的な化学物質管理を支える化学物質管理者の仕事化学物質管理者の職務(1) リスクアセスメント対象物の製造事業場、リスクアセスメント対象物の取扱い事業場で選任される化学物質管理者の職務は労働安全衛生規則第12条の5第1項に示された7つの項目です。①ラベル表示およびSDSの交付に関すること:はその作業を管理(ラベル表示およびSDSの内容の適切性の確認等)する。化学物質管理者にGHS分類の知識・経験が乏しければ内部の担当者または外部の事業者に委託する等により実施することでもよい。分類結果が正しく、それに従ったラベル表示およびSDSの内容に間違いがないかどうかは製品を製造(譲渡・提供)する事業者が判断する必要がある。②リスクアセスメントの実施に関すること:的には、リスクアセスメントを実施すべき物質の確認、取扱い作業場の状況確認(当該物質の取扱量、作業者数、作業方法、作業場の状況等)、リスクアセスメント手法(測定、推定、業界・作業別リスクアセスメント・マニュアルの参照など)の決定および評価、労働者へのリスクアセスメントの実施およびその結果の周知等を行わなければならない。リスクアセスメントの技術的な部分については外部専門家・機関等を活用し、相談・助言・指導を受けても良い。③リスクアセスメント結果に基づくばく露防止措置の内容および実施に関すること:装置等の密閉化、局所排気装置または全体換気装置の設置、作業方法の改善、保護具の使用など)の実施について管理する。限にするために対策を講じなければならない。また、すべての労働者のばく露が濃度基準値以下となるような措置を取らなければならない。これは労働者の個人ばく露濃度に関する規定であり、工学的な対策等が直ちにできない場合には、個人用保護具の着用が必要になる。④リスクアセスメント対象物を原因とする労働災害が発生した場合の対応:に労働災害が発生した場合の対応、労働災害が発生した場合を想定した応急措置等の訓練の内容および計画を定めることを管理する。確保、救急措置および担当者の手配、危険有害物の除去および除染作業、連絡網の整備、搬送先病院との連携、労働基準監督署長による指示が出された場合など)をマニュアル化し、化学物質管理者および他の担当者の業務分担を明確にする。また、マニュアル化した内容について、適切に訓練を行うことが望ましい。⑤リスクアセスメントの結果等の記録の作成および保存ならびに労働者への周知に関すること:⑥ リスクアセスメントの結果に基づくばく露防止措置が適切に施されていることの確認、労働者のばく露状況、労働者の作業の記録、ばく露防止措置に関する労働者の意見聴取に関する記録・保存ならびに労働者への周知に関すること:⑦労働者への周知、教育に関すること:る。教育の実施においては、外部の教育機関等を活用することもできる。事業者は、リスクアセスメント対象物を含む製品をGHSに従って分類しラベル表示およびSDS交付をしなければならないが、化学物質管理者事業者は、リスクアセスメントを実施しなければならないが、化学物質管理者は、リスクアセスメントの推進ならびに実施状況を管理する。具体事業者は、リスクアセスメント結果に基づくばく露防止措置を実施しなければならないが、化学物質管理者はばく露防止措置(代替物の使用、事業者は、リスクアセスメントの結果、作業場あるいは作業について改善が必要と判断された場合には、当該物質の労働者へのばく露を最小この職務に関しては内部または外部専門家の相談・助言・指導を受けることが有効であろう。化学物質管理者は、実際にリスクアセスメント対象物を原因とする労働災害が発生した場合に適切に対応しなければならない。そこで、実際労働災害が発生した場合、または発生が懸念される場合(死傷病者の発生、有害物質への高濃度ばく露あるいは汚染など)の対応(避難経路化学物質管理者は、前項までの事項等を記録し保存する。また、リスクアセスメント結果の労働者への周知を管理する。1年を超えない期間ごとに定期的に記録を作成し、3年間(リスクアセスメント対象物であり、かつがん原性の場合には30年間)保存する。①~④を実施するにあたっての労働者に対する必要な教育(雇入れ時教育を含む)の実施における計画の策定や教育効果の確認等を管理す11
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