5011有害性情報種々の毒性学的(健康)影響の簡潔だが完全かつ包括的な記述および次のような影響の特定に使用される利用可能なデータ:(a)可能性の高いばく露経路(吸入、経口摂取、皮膚および眼接触)に関する情報(b)物理的、化学的および毒性学的特性に関係した症状(c)短期および長期ばく露による遅発および即時影響、ならびに慢性影(d)毒性の数値的尺度(急性毒性推定値など)響【急性毒性】・経口:ラットのLD50値6,200mg/kg(EHC196,1997)および9,100mg/kg(EHC196,1997)から区分に該当しないと判断されるが、メタノールの毒性はげっ歯類に比べ霊長類には強く現れるとの記述があり(EHC196,1997)、ヒトで約半数に死亡が認められる用量が1,400mg/kgであるとの記述(DFGOTvol.16,2001)があることから、区分4とした。・経皮:ウサギのLD50値、15,800mg/kg(DFGOTvol.16,2001)に基づき、区分に該当しないとした。・吸入:(ガス)GHSの定義における液体である。(蒸気)ラットのLC50値>22,500ppm(4時間換算値:31,500ppm)(DFGOTvol.16,2001)から区分に該当しないとした。なお、飽和蒸気圧濃度は116,713ppmVであることから気体の基準値で分類した。(ミスト)データなし【皮膚腐食性・刺激性】ウサギに20時間閉塞適用の試験で刺激性が見られなかった(DFGOTvol.16,2001)とする未発表データの報告はあるが、皮膚刺激性試験データがなく分類できない。なお、ウサギに24時間閉塞適用後、中等度の刺激性ありとする報告もあるが、メタノールによる脱脂作用の影響と推測されている(DFGOTvol.16,2001)。【眼に対する重篤な損傷性・眼刺激性】ウサギを用いたDraize試験で、適用後24時間、48時間、72時間において結膜炎は平均スコア(2.1)が2以上であり、4時間まで結膜浮腫が見られた(スコア2.00)が、72時間で著しく改善(スコア0.50)した(EHC196,1997)。しかし、7日以内に回復しているかどうか不明なため、細区分せず区分2とした。【呼吸器感作性または皮膚感作性】・呼吸器感作性:データなし。・皮膚感作性:モルモットを用いた皮膚感作性試験(Magnusson-Kligmanmaximizationtest)で感作性は認められなかったとの報告(EHC196,1997)に基づき、区分に該当しないとした。なお、ヒトのパッチテストで陽性反応の報告が若干あるが、他のアルコールとの交差反応、あるいはアルコール飲用後の紅斑など皮膚反応の可能性もあり、メタノールが感作性を有するとは結論できないとしている(DFGOTvol.16,2001)。
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