令和6年度 化学物質管理に関する初心者向け解説教材 第2巻
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92⑦生殖毒性区分1:ヒトに対して生殖毒性があることが知られている、またはあると考えられる物質・区分1A:ヒトに対して生殖毒性が知られている物質※主としてヒトでの証拠により物質をここに分類します。・区分1B:ヒトに対して生殖毒性があると考えられる物質※主として動物での証拠により物質をここに分類します。区分2:ヒトに対する生殖毒性が疑われる物質(授乳区分):授乳に対する、または授乳を介した影響⑧特定標的臓器毒性(単回ばく露)区分1:ヒトに重大な毒性を示した物質、または実験動物での試験の証拠に基づいて単回ばく露によってヒトに重大な毒性を示す可能性があると考えられる物質区分2:実験動物を用いた試験の証拠に基づき単回ばく露によってヒトの健康に有害である可能性があると考えられる物質区分3:一時的な特定臓器への影響が見られる物質⑨特定標的臓器毒性(反復ばく露)区分1:ヒトに重大な毒性を示した物質、または実験動物での試験の証拠に基づいて反復ばく露によってヒトに重大な毒性を示す可能性があると考えられる物質区分2:実験動物を用いた試験の証拠に基づき反復ばく露によってヒトの健康に有害である可能性があると考えられる物質⑩誤えん有害性区分1:ヒトへの誤えん有害性があると知られている、またはヒトへの誤えん有害性があるとみなされる物質区分2:ヒトへの誤えん有害性があると推測される物質健康有害性の中で、特に、発がん性(Carcinogenicity)、変異原性(Mutagenicity)、生殖毒性(Reproductivetoxicity)の3種類を総称して、「CMR」と呼称することがあります。これら3種類の健康有害性を取り出して総称するのは、長期的な健康被害を引き起こす可能性が高く、重篤な作用であることや、ある物質が3種類すべての有害性を示す可能性があることなどが挙げられ、CMR物質には多くの国で厳しい規制が設けられています。なお、皮膚腐食性/刺激性、眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性、呼吸器感作性または皮膚感作性については、ヒトでの症例、動物実験などの結果により細区分が決められています。CMRについてCMRの区分1には区分1Aと区分1Bの基準が設定されており、区分1Aはヒトでの疫学的調査やヒトでの証拠をもとにして分類されます。つまり、CMRの区分1Aはヒトへの影響に関する知見があり、実際にヒトへの関与が強く疑われる物質と言えます。

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