核GCATATGCGATGCTATATGCGGCTATATGCGCGATATCG第4章 GHSで知ることができる健康有害性79変異原性と遺伝毒性染色体ヒストンDNA細胞細胞内の核、染色体、DNAのイメージ■変異原性とは?変異原性(へんいげんせい)とは、DNAに変化を引き起こす性質(その性質を持つ物質や要因のことを含む)を指します。DNAは私たちの遺伝情報を持っている重要な分子で、細胞の中に存在してその細胞がどのように機能するかを決定します。変異原性を持つ物質等がDNAに作用して、DNAの配列や構造を変えてしまい、細胞の正常な機能が損なわれることがあります。例えば、紫外線(UV)はDNAに突然変異を引き起こすことがあります。それが原因で、長時間の紫外線ばく露は皮膚がんになる可能性を高めます。■遺伝毒性とは?遺伝毒性(いでんどくせい)は、遺伝物質(DNAや染色体)に損傷を与える性質(その性質を持つ物質や要因のことを含む)で、広い概念を指し、変異原性もその一部に含まれることがあります。遺伝毒性を持つ物質は、DNAの損傷や染色体の数や構造に異常を引き起こし、これが細胞の分裂や成長に影響を与えることがあります。遺伝毒性は、がんの発生や遺伝性疾患の原因となることがあります。例えば、ベンゼンは体内に入ると代謝されて、反応性の高い化合物になります。これらの代謝産物は血液を通じて骨髄に運ばれます。すると代謝産物が骨髄細胞のDNAの損傷や染色体異常を引き起こし、その結果、細胞の分裂や成長が阻害され、白血病などの血液がんになる可能性を高めます。■変異原性と遺伝毒性の違い変異原性と遺伝毒性は似た概念ですが、一般的には異なるものとして扱われます。変異原性は主にDNAの突然変異を引き起こす性質のことで、遺伝毒性はDNAや染色体全体に対する影響を及ぼし、その情報や構造に変化をもたらす性質のことを言います。
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