2労働安全衛生総合研究所 2025年3月第2巻では化学品(化学物質)の危険性や有害性とはどのようなものなのかについて学びます。化学品にはさまざまな性質があり、人々の暮らしを便利で豊かなものにしていますが、一方で、多くの災害の原因にもなってきました。これまでの経験から爆発や火災を起こす物質、人に健康障害を及ぼす物質、生態系に影響を及ぼす物質、オゾン層を破壊する物質、温暖化の原因になる物質などが知られています。また、たくさんの新しい物質がどんどん登場する中で、災害を防止するために事前にそれらの性質を調べる方法も開発されてきました。そのような中で、約30年前に国際連合で化学品の危険性や有害性の種類と重大さを世界統一の基準で包括的に分類しようとする動きがあり、10年の検討を経て「化学品の分類および表示に関する世界調和システム(GHS)」として結実しました。GHSは化学品のさまざまな性質(危険性や有害性)の分類方法と分類による結果をラベル表示や安全データシート(SDS)で伝える画期的な世界統一システムでした。GHSの目標として、世界中で化学品を安全に使用するようになること、化学品の貿易を容易にすること等があります。現在世界中でGHSに基づいたラベルやSDSが普及しています。日本ではGHSは日本産業規格(JIS)となり活用されています。GHSを理解すると、関連する化学物質管理の法令(労働安全衛生法、毒物及び劇物取締法、特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律、消防法など)の危険性や有害性が俯瞰できるようになります。本書がGHSを身近に感じるきっかけになれば嬉しく思います。シリーズ:働く人の化学物質管理ABCはじめに第2巻
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